山小屋のカビ対策
富士山1000mにある十里木高原の山小屋の立地は樹木に囲まれ湿気が多い。
新築当時はカビ点検、処理など来訪時の最初の仕事だったが、
5年目となり木造りの材料の湿気はほとんど抜けて、滞在中は常に2台の除湿機を回して湿気を抜いて退出するので、来訪時の室内の気になる湿気、異臭はない。
ベッドカバー等は常に持ち帰り洗濯乾燥させて除湿剤入りケースに入れてあるので問題はなし、洗濯ものも浴室を乾燥室として除湿機を回しているので、乾燥状態で収納できる。
使用後の木張りの浴室の乾燥にもなり一石二鳥、いまだに黒カビ一つない。
留守中も空気清浄機をつけて発生する菌類を捕集しているが、
梅雨前ということもあり、除湿剤交換とともに、退出時にエアゾールタイプの防カビ材を使用してみた。
大手メーカーのものは効果小でも安全性、環境配慮はあると思い使用した次第である。
後で調べると、成分はIPMP(歯磨き粉、ニキビケア)、エタノール、DME(ガス)とのこと。
また、以前クッションにカビ臭がでて丸洗いしたこともあるので、ダニスプレーを天日干し後の布製品に使ってみた。
こちらはフェノトリン(ピレスロイド系)とのこと、我が家ではヒバ油(虫除け)、エレミ油(芳香)の天然成分剤を使用しているが、時間が空くので気にはならない。
月に1回行ければと思っているので、今回この方法がうまくいけばこれをルーティンワークとすれば良い。
防カビ、防ダニ材も食料買出しのスーパーで見つけたもの、種類が豊富でどれにするか迷ってしまったが、地場に合った品ぞろえなのでしょう。
木部の経年色斑と水ジミの対処
住まいの設計では多くの木をつかう。
メンテナンスも生業としているためその対処も考えなくてはならない。
クライアントからの改修相談があり、まずは自邸で対応を検討をしてみた。
無垢のフローリングは日焼けや水がかりによって色変化が起る。
我が家の洗面所の床とトイレの床はともに無垢のナラフローリングオイル塗装だが、洗面床は水かかりが多いため、ドア下で色変化がある。
着色材の入ったオイルでその色斑を少なくしてみた。
窓枠への雨かかりや植物への水やりで水滴をそのままにしておくと水ジミとなってしまう。
我が家の階段には植物を置いている。
毎日の水やりで水ジミが出来ている。
この場合は、サンドペーパーで水ジミを落としてからの着色オイル塗装とする。
今回は検討のため塗料色が合うか確認してみた。
クライアントの住まいは塗装屋さんにお願いするため、もっときれいな仕上がりとなります。
より快適な住まいとするため、そして息抜きにDIYもおすすめします。
塗料は割高ですが小分けで販売している塗料店もありますし、オスモなどは0.125Lなどのものをネット販売しています。
記憶する住まい(2)
その1
築年数は不明だが礎石と太い柱、曲がった梁、その後の改修跡が残る建物。
クライアントの要望は建物再生。
長年の改修での余分なものをそぎ落とす。
安心と安全。
古材の柱と梁が 魅力ある空間をつくる。
その2
太い自然絞りの床柱、飾り格子の書院窓。
裏山の欅で普請した建物。
クライアントの要望は古材利用。
古材と新たな材料で、空間をつくる
大口径の欅柱は大黒柱として。
柱を磨き、形状を生かす。
床板も再生利用
端材も照明に。
クライアントの想いを受け止め、設計で出来ることを最大限に表現したい。
記憶する住まい(1)
階段に1か所、材質の違う段板がある。
建主の実家の階段板である。
兄弟で良くこの階段で遊んだそうだ。
撤去にあたって持ち運んだものである。
記憶はかけがえのないもので、その価値を大切にしたいと思う。
住まいづくりでは、既存家屋の材料を再利用できないかというご相談がある。
住まいの想いをお聞きし、最大限利用したいと考えている。
材料利用の住まいを2題ご紹介する。
昭和初期に建てられたお住いの改築である。
改修を何度か行い今回は兄妹で敷地を2分割しそれぞれ建替えることとなった。
新しい住まいでは、門塀の大谷石を敷石に使い、門灯を再利用している。
室内では型板ガラスの利用、建具引手などを再利用した。
これも昭和初期のお住まいである。建主の祖父母の住まいだ。
ご両親はこの建物の奥に住まいを建て、建主は祖父母の住まいがお気に入りだ。
床柱と照明器具のセードを再利用した。
我が家の時計
住まいの中の時計は、実用とともに部屋の雰囲気をつくるものでありお気に入りのもの、部屋に合ったものを選びたい。
我が家の時計をご紹介します。
仕事部屋の時計です。
床壁天井、机などすべて木。
時計の赤い印はシエスタです。
ストレスなし、スローワーク・・・がイイネ
仕事場の隣、打合せ室の時計
竣工のお祝いに送ることがあるものの一つです。
フレームは銅で出来ています。
リビングの時計です。
リビングも床壁天井はすべて木です。
木のなかのイタリアンデザイン。
遊び心、色がとても好きです。
これもイタリアンデザイン。
イケアで衝動買いをしてしましました。
住まいの時計は高額ではありません。
安いからと言って衝動買いせずに、じっくり楽しみながらお部屋づくりをして下さい。
子供室はタンタン時計
コルクタイルをつかう理由
建築家紹介センターという、九州の仲里さんがつくる、住まい手とつくり手をつなぐ紹介サイトがあり以前からお付き合いがあります。
今回はコルクタイルインタービューです。
仲里さんの了解をえてブログに転載しました。
テーマはコルクタイルをつかう理由です。
貴社がコルクタイルを採用したきっかけがありましたら教えて下さい。
修行時代の宮脇檀建築研究室で、床材として多く採用していました。
入所当時の宮脇自宅と事務所別室は事務所マンション上階にありましたが、どちらも床材はコルクタイルでした。
自宅はその後サイザル麻床タイルになり、さらにシナ合板床白色顔料(胡粉?)混入オイル仕上げになったと記憶しております。
オイルはボイル油とアマニ油を混ぜて使用していました。
退所後のことですが、着色オイル塗装剤(オスモ、リボス)が出回る前のことです。
「宮脇檀の住宅設計のノウハウ」丸善・1987年初版の「10・3床は足が触れるところ」など
コルク床についてかかれています。
住宅の担当につくと、個別に色々話が聞けます。
日本人は素足の生活なので自然材と肌が触れ合う気持ちよさがいい。
台所は長く立つ場所なのでクッション性のある材料を使いなさい。
洗面所は素足の場合もあるのでヒヤリとしない材料としなさい。
水回りは掃除の楽な材料にしなさい。
などなど
当時雑誌モダンリビングの連載や色々なところで住宅や生活のコラムを書いていたので、
情報収集、実践、発信とその中にいたようなものです。
今のように情報がない時代なのでとても新鮮でした。
建築家のフランク・ロイド・ライトの名建築、落水荘の浴室の床がコルクタイルであることも
教えてもらいました。
毎週のように地方に、年数回海外に出かけていましたので大変な情報量をお持ちでした。
新幹線での地方出張に同行した際には、車窓から見える有名建築が出発何分ごろに見えるか記録させられました。
これは何か忘れましたが掲載されていました。
コルクタイルのメリット・デメリットを教えて下さい。
メリットは、
自然材料であること。また、コルクはコルク樫の木の皮が原料ですが再生される材料であること。
自然に優しいのはとても良いところです。
弾力性のある材料であり、断熱性、遮音性、歩行感が良いということ。
RC2階建ての階下に録音の出来るピア室を設計したのですが、柔らかい下張りコルク、上張りコルクと
2重貼りして落下音を消す設計をしました。
耐水性があること、耐久性があること、燃えにくい材料であること、腐朽しにくいため木材より抗菌性が高いこと
など総合的に無敵な材料とおもいます。
滑りにくい材料であることも良くかかれていますが、メンテワックスも滑らないようなものにして下さい。
デメリットは、
無垢の木の床も同じですが、床暖房可能な材料はありますが、断熱材であるため効率的ではないこと。
無垢の木ほどの熱による収縮がないため、おすすめはし易いと考えます。
日の当たるところでは退色がおこること。
退色はワックス焼き込み仕上げであれば着色ワックスを塗り込めば元のようになります。
メーカーで材料を提供していたので、試しにメンテナンスで使用してみました。
退色がなかったところとの色の差が目立たなくなりました。
材料が施工を含めて高額なこと。
材料は産地、生産のほとんどがポルトガルなので、幅広い産地、生産拠点をもつ無垢の木のフロアのような安価なものがありません。
施工も下地清掃、敷並べ、接着剤下地、コルク両面塗布、乾燥、敷込み、ローラー掛けと手間がかかります。
コルクタイルの価格はどれくらいでしょうか?
私どもの実際の設計見積を確認してみると、材料は一般的な300角、5mm厚で1万/㎡程度、施工費は3から4千円/㎡程度です。
コルクタイルの耐久性はどれくらいでしょうか?
前の事務所で設計し私どもがメンテしているお住まいでは、5年ごとにメンテナンスに入りますが記録によると10年で
着色改修、20年で張替えをしています。お住いの生活を大切にしたとても良い改修ですが、一般的ではありません。
35年経ちますが、いろいろな改修をしながら住みつづけておられます。
多分ビルダーの新築ほどの改修をおこなっている筈です。
居心地の良い空間を大切にするということが何より大切と考えるのですが、古くなるとすぐ新築も如何かと思います。
・「親家の隣に建つ住まい」で
コルクタイルを採用した理由を教えて下さい
キッチン、トイレ、洗面脱衣に使用していますが、デメリットの環境もなく、メリットが最大に生かされるためおすすめしました。
「親家の隣に建つ住まい」で工夫した点を教えてください。
ワックス焼き込みが古くからの仕上がり、直輸入品に多くありますがこれが個人として好きなのですが、防汚性を考慮しウレタン仕上げとしました。
コルクタイルをDIYで貼ることも可能でしょうか?
敷き込みを何度か見たことがあります。知り合いの大工さんに頼むと自ら上手に貼りますし、DIY好きの施主さんはMYローラーを持っています。
接着剤は乾かして仮敷しローラーで圧着するため、角が合わなければその場で剥がして再度合わせることもできるので扱いはし易いとおもいます。
直輸入品は微妙に寸法が違うと職人さんがこぼしていたのを記憶しています。多分日本からの委託生産品は精度が良いのでしょう。
是非試してください。
コルクタイルのメンテナンスはどうしたらいいのでしょうか?
初めてのメンテナンスなら専用メンテナンスワックスが良いと思います。
コルクタイルメーカーが専用材料として提供しています。
取り扱い説明に沿って使用してみて下さい。
コルクタイルの耐水性はどうでしょうか?
まったく問題はありませんが下地に合板が貼られていることを忘れずにいて下さい。合板は耐水処理品であっても湿気で腐朽します。
コルクタイルを浴室に使うことも可能でしょうか?
専用のコルクタイルがあります。
コルクタイルを採用したい方にアドバイスがありましたらお願いします。
床材だけでなく、壁、天井材もあるので全面コルク張りの空間などつくってみたいです。
きっと柔らかな温かく落ち着ける空間になると思います。
防音室にも適しているかもしれません。
DIYインタビュー
建築家紹介センターという、九州の仲里さんがつくる、住まい手とつくり手をつなぐ紹介サイトがあり以前からお付き合いがある。
今回はDIYインタービューです。
仲里さんの了解をえてブログに転載しました。
テーマは住まいづくりを楽しむDIYです。
DIYとは何ですか?
私どもの提案するDIYは住まいづくりを楽しむDIYです。その上でコスト軽減にもなればと思います。
設計者としては、住まいをより知って、長持ちするように面倒を見てもらいたいという気持ちなので、設計打合せや現場説明にも出来るだけ時間をいただいています。
その上で、楽しんで出来ることがあればDIYをおすすめします。
それは、機器・材料選び参加だけでなく施工参加となります。
登記は図面のお手伝いをし、後は自分たちでやってみることをおすすめしています。
貴社がDIYを手がけたきっかけがありましたら教えて下さい。
設計を始めた30年前はほとんどがお任せでした。
設計提案をし、機器はカタログ、仕上はサンプルの切端をお見せしご了解を受けていました。
機器・材料のショールームが出来始めて出来るだけご案内するようにしました。
10年ほど前に当時陶芸がご趣味のクライアントさんに、手洗器をつくってみませんかというお願いをしたところ、表札もとなり、壁(施工はほんの一部です。)も塗りましょうかとなりました。
その次の現場では、使う材料も見ましょうということで材木市場、石切り場廻りとなりました。
8年前の自邸では塗装工事、外構工事、造園工事、登記などを行いました。そして、ほとんど毎日現場に顔を出しました。
自邸での外部木製建具、機器などのメンテナンスのDIYは、住まいづくりの考え方に役立っています。
それから、壁塗などをイベントとし、機器・材料選びを出来るだけコーディネートするようになりました。
私どもとご縁のあるクライアントさんはちょっとした住まいづくりを楽しむDIYがお好きです。
ご心配は夢見る住まいに自分たちの手が入って違和感が生じないかということです。
そのへんは、上手くあんばいをしています。
OUR CABIN OUR DIYでDIYしたのはどの範囲でしょうか?
「OUR CABIN OUR DIY」は富士山十里木高原につくった、私どもの山小屋です。
亡き義父の土地に、予算を決め出来ることは自分たちで楽しく行う。 地元職人さんたちと楽しくつくる。
小さいからなんとかなると気楽に始めた住まいづくりです。
DIYは職種で言えば塗装、シーリング工事です。
現場監理ついでに出来る工事でコストを軽減出来ます。
表示登記、保存登記も行いました。
敷地の下草刈り、樹木の枝払い、外壁塗装は家族4人総出で行いました。
内部塗装やシーリングはパートナーと2人です。
自分たちでは出来ないこと、任せた方が良いところは職人さんにお願いしました。
楽しめる範囲が適当です。
また、住まいは建物が出来て完成ではありません。
内部のちょっとした造作はDIYでつくっています。
また、メンテナンスはある程度、自分たちで出来るようなかたちとしています。
庭造り、バーベキュー、陶芸炉づくりなど楽しみは沢山あります。
計画からの出来事をホームページのブログに書いています。是非ご覧ください。
DIYするために設計上、工夫した点を教えて下さい。
住まいづくりを楽しむDIYでは、クライアントさんの楽しく出来ることや範囲を十分考えます。
どんなことが出来るかを話し合い計画をたてます。
専門的な作業では職人さんに注意事項や手ほどきを受けるようにしています。
壁塗イベントをよく行いますが、DIYが容易な材料を使用します。
子供たちも楽しめるように害のないもの、刺激のないものを使用します。
壁にサインをし手形をとって終了です。
インテリアや造園のご相談もお受けするのですが、都内の住まいづくりでの庭木を見て撰ぶツアーは好評です。
場所は深大寺です。生産者さんの茅葺きのお住まいに集合し、造園屋さんの案内で植木畑(樹林)を散策し説明を受けながら選定します。
食事時ならば深大寺蕎麦で終了となります。
初めての方でも建物の一部分をDIYすることは可能ですか?
出来ることはあると思います。
他の工事の支障になる場合があるので設計者(施工者)と十分に話し合って下さい。
塗装工事でコスト軽減をお考えの場合は、加工前に塗装を行えば工事の支障は考えずに済み、程度の良い塗装となります。
我が家の186枚のシナ合板の塗装は材木屋さんの倉庫を借りて塗装しました。
デッキ材も加工前に塗装しました。
材木屋さんで行ったのでそこに置いておけば現場に届けてくれました。
機器・材料支給もあります。
現在の施工者はある程度理解があります。
支給となり手間が増えなければ、あまり問題ないという考えだと思います。
そこでの経費は少ないということです。
手間がかかればご請求となります。
職人さんの手間は高額なので十分ご注意下さい。