山の木造別荘の床下通気
木々に囲まれた高原の山の別荘は、標高1000mにもなれば夏でもストーブが必要な日があるほどで、避暑には最適です。
しかし、秋冬以外は常に湿度が高く建物と生活には湿気対策が必要です。
木造の場合、土台等の構造が腐朽しないような水分量を保てるかが重要です。
そこで重要なのが、基礎高、基礎パッキン、床下換気口です。
地表からでる水分が多い場所は、地面に近いほど湿度が高くなっています。
基礎はコンクリートで出来ていてコンクリートは水とセメントでつくられます。
コンクリートの水分が出なくなるまでは2年といわれるほどです。
基礎パッキンはコンクリートと土台を絶縁させるもので樹脂製の網目状となっており
土台底面が常に空気に触れるようになっています。
床下換気口は床下に外気を通気させる入口で、法令で面積が決められてます。
基礎パッキンが通気を兼ねる通気基礎パッキンがあり、床下を利用するもの(基礎断熱、OMソーラー、床下エアコン、エアサイクル工法等)以外一般的に利用します。
ここ十里木高原は6月から9月にかけて雨が多く、木々に囲まれているため霧やもや立ち込めます。
雨が無くとも湿度70%程度のため、母屋・アトリエ共床高にしています。
母屋である山小屋は一般的な通気基礎パッキンで床下通気をしています。
床下にペレットや修理の工具、材料を入れているので常に土台等の床下の状況が判ります。
これでも土台等の構造に問題はないのですが、この床下は外気の湿度と常に同じのため
ものの保管には適していないような気がしております。
また、足の長いクモが出るので気になっていました。
そこで今回、離れのアトリエ棟の新築では、湿度の高い季節は閉じて、乾燥する季節に開けるエアサイクル工法とは逆の床下通気のために気密基礎パッキン+蓋付換気口としました。ちょっとした断熱気密蓋で通気孔も小さいので虫も防げるかと期待しています。
夏季でも滞在するときは、雨でもなければ換気を空けて風を通し、床下の様子を見ることにします。
まだ、基礎の湿気は抜けていないので、おいおい外気湿度と床下湿度、床下木構造の水分率など季節ごとに計って見ます。
キッチン水栓、シャワーホースの破れにご注意
キッチン水栓はグローエのK4を使い始めて15年程になります。
グースネックでシャワーホース付きです。
デザインも良く、シングルレバーの中でもグローエのカートリッジバルブは滑らかな操作性でとても気持ちが良く、またシャワーホースはシンクの隅々まで洗い流すことが出来てとても気に入っています。
しかしながら、5年程でシャワーヘッドのシャワー切り替え釦のカバーが破れて交換、
10年で水切れが悪くなり交換、
14年でカートリッジの操作性が悪くなり交換とやや面倒がかかっています。
そして今回シャワーホースが破れて漏水してしまいました。
使用中だったためすぐに止水栓を閉めて原因を確認しました。
早速、ホースをNET注文。翌々日のDIYでの取替となりました。
故障した水栓を閉めておけば止水栓を開栓しても浄水器が使え、洗面も隣、食洗機があり、引出を外しておいたため、面倒はあったものの日常の調理を行うことが出来ました。
シャワー切り替え釦がなければ釦の消耗もありません。
ホースが無ければそこからの漏水も起きません。
水栓がレバーのカ-トリッジ式でなくハンドルのバルブ式であればDIYは簡便です。
しかしながら、面倒はかかってもこの水栓を気に入っております。
これを機会に取り換えようと考えましたが良いなと思ったものがありません。
住まいは一つ一つの材料や機器等を組み上げて出来ます。
住まいづくりではその選択の連続となりますが、経験も含めてその人にあったものとなるようにカタログ等では見えないところもお伝えしています。
十里木の住まいづくり、釘・ビスにこだわる
材料の留付けに釘やビス等があります。
目的に合わせた沢山の種類があり、性能など知れば知るほど楽しくなります。
形状や素材など適材適所で選択します。
建築ではおもに構造用と仕上用の釘、ビスに分けられます。
構造用の留付けには構造設計で決められた性能のものを使用します。
耐力面材になる構造用合板等の留付けには釘が使用されますが、目視で仕様釘が判るように頭に長さの50などと刻印されています。
木造の構造金物検査ではこの刻印を設計通りになっているか必要間隔、適正施工と共に確認します。
その他構造金物取付ビスはそれぞれ決められたものがあり、色分け等されているので確認がとても便利です。
今回は、仕上用ビスのお話です。
見せるビスです。
板壁外壁は最も傷みやすい場所です。
DIYで取替ができるように考えました。
仕上材料は杉の貫材、ビスは耐候性、木材締付のためステンレスコーススレッド。
安価で材料はホームセンターで揃います。
浴室の杉板は真鍮の丸頭釘です。板の反り防止ですが、昔から定番の見せ釘です。
炉壁や調理壁のフレキシブルボードの留付けには、小ぶりのステンレスの平頭釘を使用しています。色味、形状で目立たぬようにしました。
フィニッシュネイルなどもっと目立たない釘もありますが、消す意味はないと考えました。
床板は91cm×182cmの杉構造用3層合板を仕上げとして使用しています。
水平構面としての使用のため、性能仕様のビスを選んで使用しています。
使用品は鉄製ダクロ処理でビット部が四角なのでチープ感はありません。
室内にビス等があまりに多く見えるのも印象的には良くありません。
留付け位置の工夫でなるべく隠し、見せるところは見せるのが良いかと考えます。
手摺の留付けビスです。ユニクロコーススレッドですが間隔を指示することで整然とします。
玄関扉のハンドルを木製製作としましたが留付けは長ネジにナット止め、先端部を袋ナットとしています。
外部なのですべてステンレスです。
何度も引抜の力が加わる場所は締め直しが利く留付けが良いかと思います。
金物は耐久性、耐候性があります。
建物には色々な部分で出てきます。
素材や色を揃えるとスッキリとした印象となります。
住まいづくりはこだわりどころ満載です。
些細なところでもこだわらないと住まいづくりがもったいないと感じます。
住まいの価格を考える
新型コロナ禍、ウクライナ戦争等気持ちの晴れない毎日です。
これに起因して木材を初めとする材料価格の高騰、半導体供給遅れによる施工延滞など
住まいづくりを始めたいと考える気持ちを抑え込むようです。
まして坪単価はこれくらい必要ですと言われるとますます一歩が踏み出せません。
この坪単価ですが、防災、環境負荷低減、IT化等官民が推し進める施策により上がっている側面があります。
国は耐震や環境負荷低減に対するランク付けを行って法令や補助金等を使い住まいづくりを誘導しています。
耐震も環境負荷低減も大切で、ランク付けも指針にはなりますが、詳細な住環境や設計の工夫などが抜け落ちたものです。
坪単価はあれもこれもと考え、勧める人たちが上げています。
設計事務所へは、メーカーに無い発想や自由度を求めてくる場合が多くあります。
設計事務所の仕事は発想や自由度だけでなく、住まい手の住環境や生活環境にあった耐震や環境負荷低減を話し合い、材料の費用対効果を話し合い、住まいづくりを住まい手にとって唯一無二のものにします。
住まいのLCC(ライフサイクルコスト)も考えなくてなりません。
修繕、取替などのコストも知っておく必要があります。
住まいづくりを知り、価値観を設計者と考えていくことで程よい価格の住まいが出来るものと考えます。