TAMの家づくり

住まいづくりを楽しむ、住まいを楽しむ

楽しさいっぱいの子供部屋改修

設計した住宅の子供室を客室に改修しました
ここから巣立った子供たち家族が集う場所です

住まいを楽しむということは私どものモットーです
設計して17年経ち、家族の形態が変わる中で住まいを楽しく住み継いでいただけること、そこでお手伝いが出来ることにとても感謝しております

子供たちの「遊び場」と客室となる「たまり場」、来客用納戸の「秘密の部屋」を設けました。

「遊び場」は既存のクローゼット、ロフト、のぼり棒を生かしたもので、ロフト部は手摺を枝に見立てた「鳥の巣」、クローゼットは扉2枚を生かした「うろ」、のぼり棒は豆の木で天井にはクロスで葉をかたどりました。

「鳥の巣」が大きな木の見立てのため、そこには森が広がり、岩山もあります。

森は塗装した合板、クロスでの表現。岩山でのボルダリング遊びができるようにしました。

「たまり場」は既存利用の本棚を絵本やおもちゃでいっぱいにし、床暖房のある畳の上で思い思いに遊べればと考えました。

ロールスクリーンで囲い森の中に居るような個室となりました。



築42年アパートの外装改修

16年程前に、プロデュース会社を通じて内装改修を行った建主より、経営する築42年のアパートの外装改修依頼がありました。

立地が良く、今まで空室期間がそれほどなかったものが、コロナ禍で期間が空くようになり維持と美観を考えてのことです。

鉄骨という構造、状態、立地、相続を考えると建替えが良いのではというお話をしましたが、相続には問題ないということ、構造部にさほどの異常がないこと、大きな借り入れを避けたいということで出来るだけ低コストで後10年程を考えた改修となりました。

スクラップ&ビルドはあまり好きではなく、経営的判断の低コストという内容では安全性は目視等での状況判断という悩ましい解決しかありません。

その中で出来るだけご希望に答えたいと考えました。

 

ファサードを考える

入口のある外壁の鋼板は端部が発錆し腐食もありました。

また、外壁面にはアンテナTV、電話、CATVや光回線の盤が要不要問わず取付いた状態でした。

ファサードは建物の顔となるところ、

改修は既存の上に軽量の外装材の新設、弱電各社と協議し不要は撤去し提供ボックス内に納めることとしました。

四角のフレバブアパートの外観であることより、無機質、無彩色なデザインとしました。

改修前です

改修後です

 

外装塗装を考える

外装塗装は流行色や遮熱などの機能考えますが、既存の状況があり小規模建物では

数色使っても艶を替えてもコストには影響されません。

プレバブ鉄骨造のため幕板、パネルカバーなどがつきます。

そこの色や艶をかえ変化を出しました。

無計画なエアコン冷媒管カバー、ドレイン管、弱電ジョイントボックス等は取替えてスッキリさせています。

改修前です

改修後です

 

共用ローカ部を考える

共用ローカは鉄骨造で床コンクリートからの漏水で床デッキプレートの腐食があります。補強工事をしているため当面問題はなさそうですが、10年程の長期となると不安があります。そこで床シート施工とし美観と防水性を高めました。

廊下目隠しは塩ビ波板ですが、これをアルミ複合板とし、軒裏は目立たぬように濃い灰色の艶消し色としています。

銀や無彩色のグレー3色の濃淡で色をまとめているため、機器やドア、窓の要素のうるささは感じません。

既存集合ポストを止め、個別にネット購入したポストを建主と共に取り付けました。

安価となるとともに建主が選んだものという楽しみも加わりました。

改修前です

改修後です

設計の役割は、低コストの予算でも細部にこだわることで違いをつくるものと考えます。こだわりが質を高め、感じのよいものとなってくれるものと考えます。

コの字型の家の注意点

家のかたちは、廻りの景観、敷地形状、方位を考えながら、ゾーニング、プランニングでかたちを決めていくものと考えております。

そこにスタイルを入れながらクライアントとのイメージの共有を図ります。

クライアントが同居2世帯で、平屋、数寄屋風にとのご希望でしたので、
中央の居間と中庭を2世帯が囲むコの字は、プライベートな距離を保ちながらお互いの気配が感じられ調度よいかたちでした。

また、囲むかたちの温かさ、屋根の変化により和風をより数寄に感じさせてくれています。

プランニングは十分検討しなくてはなりません。

外と中のつながりなどとても楽しい設計ではありますが、条件がたまたまかたちに合ったものと考えております。

 

狭小旗竿敷地にご注意

23区内は土地の動きが多く、都心では20坪程度に区割りされることもあります。
デベロッパーのミニ開発では建売、土地販売とありますが、敷地内規約をつくり、どうにか建設や維持管理が出来る内容となっております。
計画を依頼された土地が前面道路が狭隘で旗竿敷地で20坪弱で坪300万もすることには大変驚きました。
敷地の予算のしわ寄せは建物です。
デベロッパー建物は2000万弱、これではという思いで設計事務所に相談という訳です。

敷地を調べると施工に難点があります。
駐車場からのアプローチ部の最も狭い部分は有効で1.6mです。
土工事ミニバックホー巾は1m程度なのでOK。
次に、基礎工事のミキサー車、ポンプ車の取付を考えなくてはなりません。
近隣の人や車の出入りの考慮はとても大切です。
工事中のトラブルは近隣に悪い印象を与えます。
前面道路が幹線のループ路になっているので出入りだけで何とかなります。

次に建て方です。
小型レッカー車は10m高さまでの吊る下げでは半径10m程度となります。
これが出来なければ、人力となりかなりの労力と費用になります。
敷地南側にマンションの通用路があり、敷地までは位置指定道路となっていたので、了解の上で使用が出来そうです。
アームが一部かかる隣家とも調査の際に挨拶を行っているので何とかなるかと思います。

建物は敷地8.4m×4.5mの場所に建ちます。
機器の置場や点検、住まいのメンテナンスを考えます。
また、建物自体7.2m×3.5mのため、室内空間の広がりや借景を活かした設計を考えます。

設計料を考えると、税込3000万程度となりますが、楽しく住めることが第一と考えます。

猿橋を見て建築を学ぶ

富士山十里木アトリエへの行き帰りの東名高速は年末集中工事で渋滞です。

今回は、中央高速を使いました。

そして途中、大月にある日本3大奇矯の猿橋を観ました。

江戸時代に現在のかたちとなったようです。

長さ、高さ共に31mの桂川にかかる甲州街道沿いの木造橋です。

材料は腐朽に強いヒバ材、20年毎の架け替えと調達を考えると

10mくらいの材料までが使用出来たのでしょう。

地元の鳶、大工、錺屋等が意見を出しながらの工事だったのでしょうか。

両岸壁に桔木(はねぎ)を埋め込んだ石垣。

2列の桔木の上に枕梁をのせ、それを4段にかさね、両岸からせり出していく。

両岸からそれそれ1/3程になり、残り部分の10m程に桁を乗せる。

桔木部分の10mには半分5mのところに梁をのせ束をたてて両岸石垣に

埋め込んだ桁とつなぐ、つなぎは台持ち継ぎのようです。

2列の行桁の上に1間の間隔で大引を通しその上に4尺5寸の間隔に根太を

その上に床板を張る。

全体的にむくり(上にふくらむ形)があるのも、荷重変形防止、雨水だまり防止など

のためと考えられます。

建築の伝統的工法です。

桔木の力強さとむくりの優しさが美しい造形となっています。

また、木材の腐朽防止のために錺屋が木部に屋根をかけているため奇矯に見えるのでしょう。

改めて、日本3大奇矯の錦帯橋を調べてみると、こちらも木造アーチ橋ですが主構造となる橋桁は角材をアーチ状につなぎ楔、ダボ、巻金、斜材で固定しています。

ヨーロッパでは14世紀には木造トラス構造が建築で使われ、その後木造のトラス橋

に発展していったようです。

建築は石づくりの壁の上に屋根を掛けるためのトラス梁なのでしょう。

トラスが発展したのは乾燥した地域の建物と思われるので、2支点間の大梁を考え、

多雨の日本では木造の耐候性のため、庇を伸ばす桔木などが発展したのでしょう。

東洋と西洋、様式の歴史、風土と建築なかなか面白いものです。

現在の猿橋は公共物としての耐久性と安全性のために木材内部を鉄骨とし、両岸石垣内

部をコンクリートとしているようです。

 

 

 

 

 

改修工事を考える-防火

改修工事を考える場合、現況を調査した総合的な設計が必要です。

構造・劣化・防火・断熱・バリアフリーなどはとても重要です。


現在東京23区のほとんどが防火地域、準防火地域に指定されています。

東京都では木造密集地の地震などの災害時における火災の延焼予防として安全条例で建物の構造を指定しています。

改修時において、現在の都市計画(防火指定)、安全条例を確認し、状況・将来予測とともに改修設計を考える必要があります。

また、2006年(平成18年)より消防法により住宅用火災報知器の設置が義務化されました。

改修の機会に確認してもらいましょう。

 

防火改修工事の事例を紹介します。

築42年の木造2階建て32坪の住宅改修です。

母の介護が終わり、一人になった住まいの外部を塗り替えたいという相談でした。

都内なので転居も進めましたが10年したら考えるということで、予算を踏まえた改修で相談を受けることになりました。


防火は屋根、外壁、軒裏、窓などの対応状況と住宅用火災報知器の設置有無を確認します。

確認申請によると現在は準防火地域となっていますが、当時は防火指定はなしでした。

現状は、屋根・外壁は防火構造となっていますが、軒裏・窓が非防火でした。

軒裏廻りからの延焼を防ぐため、破風塗装を板金に、軒裏を不燃材張してからの塗装を金額をご提示して改修をお勧めしました。

窓は、金属雨戸を常に閉める習慣があるため、費用を考慮し現状のままとしました。


費用(税別)は破風板金工事で工事で12万、軒裏防火工事で12万、他業者経費、消費税です。

住宅用火災報知器はネット購入で取り付けます。

 

破風板板金+軒裏不燃材張り塗装+防火対応軒裏換気材

破風板板金

庇上裏不燃材張り塗装

改修工事を考える-断熱

改修工事を考える場合、現況を調査した総合的な設計が必要です。

構造・劣化・防火・断熱・バリアフリーなどはとても重要です。

 

断熱性能は、1999年の断熱基準改定で天井で180mm、1992年改訂時で85mm、1980年制定時は40mmです。

基準通りの仕様では40年前の住宅の断熱性能は現在の2割強、24年前まで5割弱です。

個々の部屋は暖房機により温まるので断熱の意識は少ないのですが、無暖房室との温度差によるヒートショックによる健康被害は避けなくてはなりません。

そのために、省エネ効果だけでなく住まい全体が保温される断熱が重要です。

 

断熱改修工事の事例を紹介します。

築42年の木造一戸建て住宅の改修です。

母の介護が終わり、一人になった住まいの外部を塗り替えたいという相談でした。

都内なので転居も進めましたが10年したら考えるということで、予算を踏まえた改修で相談を受けることになりました。

 

断熱は床・壁・天井・窓の対応を考えます。

断熱は天井・床共に50mmで一部脱落等があるため費用を提示し改修をお勧めしました。

壁は50mmですが対応の困難さをご説明し現状のまま、

窓はアルミサッシシングルガラスですが日常雨戸、厚手カーテンを常に閉めるので費用を考慮し現状のままとしました。

 

作業性と施工性能を考え発泡ウレタン断熱としました。

1階床52㎡吹付厚80mm、2階天井55㎡吹付厚150mmです。

床下は木部断熱によるシロアリ被害を避けるため防蟻処理を行っております。

費用(税別)は断熱工事で50万、断熱材撤去処分・防蟻処理で17万、作業口施工で3万

他業者経費、消費税です。

 

これから寒い時期となるため、どのような感想を持たれるか楽しみです。

 

床下断熱の脱落(点検口/床下収納庫からの状況)、洗面所下断熱なし(作業口から確認)

床下防蟻工事前

床下防腐・防カビ、防蟻工事後(防蟻:ハクチサンFL、防腐・防カビ:マニレットTD-2040)

床下断熱工事(アクアフォーム)/隙間をつくらない

作業口断熱(発泡ポリスチレン板)

床下収納庫断熱(発泡ポリスチレン板)

小屋裏断熱材欠損(点検口からの状況)

小屋裏の隙間だらけの断熱状況(作業口から小屋裏に入り確認)

小屋裏断熱工事(アクアフォーム)/隙間をつくらない

作業口断熱(発泡ポリスチレン板)