コルクタイルをつかう理由
建築家紹介センターという、九州の仲里さんがつくる、住まい手とつくり手をつなぐ紹介サイトがあり以前からお付き合いがあります。
今回はコルクタイルインタービューです。
仲里さんの了解をえてブログに転載しました。
テーマはコルクタイルをつかう理由です。
貴社がコルクタイルを採用したきっかけがありましたら教えて下さい。
修行時代の宮脇檀建築研究室で、床材として多く採用していました。
入所当時の宮脇自宅と事務所別室は事務所マンション上階にありましたが、どちらも床材はコルクタイルでした。
自宅はその後サイザル麻床タイルになり、さらにシナ合板床白色顔料(胡粉?)混入オイル仕上げになったと記憶しております。
オイルはボイル油とアマニ油を混ぜて使用していました。
退所後のことですが、着色オイル塗装剤(オスモ、リボス)が出回る前のことです。
「宮脇檀の住宅設計のノウハウ」丸善・1987年初版の「10・3床は足が触れるところ」など
コルク床についてかかれています。
住宅の担当につくと、個別に色々話が聞けます。
日本人は素足の生活なので自然材と肌が触れ合う気持ちよさがいい。
台所は長く立つ場所なのでクッション性のある材料を使いなさい。
洗面所は素足の場合もあるのでヒヤリとしない材料としなさい。
水回りは掃除の楽な材料にしなさい。
などなど
当時雑誌モダンリビングの連載や色々なところで住宅や生活のコラムを書いていたので、
情報収集、実践、発信とその中にいたようなものです。
今のように情報がない時代なのでとても新鮮でした。
建築家のフランク・ロイド・ライトの名建築、落水荘の浴室の床がコルクタイルであることも
教えてもらいました。
毎週のように地方に、年数回海外に出かけていましたので大変な情報量をお持ちでした。
新幹線での地方出張に同行した際には、車窓から見える有名建築が出発何分ごろに見えるか記録させられました。
これは何か忘れましたが掲載されていました。
コルクタイルのメリット・デメリットを教えて下さい。
メリットは、
自然材料であること。また、コルクはコルク樫の木の皮が原料ですが再生される材料であること。
自然に優しいのはとても良いところです。
弾力性のある材料であり、断熱性、遮音性、歩行感が良いということ。
RC2階建ての階下に録音の出来るピア室を設計したのですが、柔らかい下張りコルク、上張りコルクと
2重貼りして落下音を消す設計をしました。
耐水性があること、耐久性があること、燃えにくい材料であること、腐朽しにくいため木材より抗菌性が高いこと
など総合的に無敵な材料とおもいます。
滑りにくい材料であることも良くかかれていますが、メンテワックスも滑らないようなものにして下さい。
デメリットは、
無垢の木の床も同じですが、床暖房可能な材料はありますが、断熱材であるため効率的ではないこと。
無垢の木ほどの熱による収縮がないため、おすすめはし易いと考えます。
日の当たるところでは退色がおこること。
退色はワックス焼き込み仕上げであれば着色ワックスを塗り込めば元のようになります。
メーカーで材料を提供していたので、試しにメンテナンスで使用してみました。
退色がなかったところとの色の差が目立たなくなりました。
材料が施工を含めて高額なこと。
材料は産地、生産のほとんどがポルトガルなので、幅広い産地、生産拠点をもつ無垢の木のフロアのような安価なものがありません。
施工も下地清掃、敷並べ、接着剤下地、コルク両面塗布、乾燥、敷込み、ローラー掛けと手間がかかります。
コルクタイルの価格はどれくらいでしょうか?
私どもの実際の設計見積を確認してみると、材料は一般的な300角、5mm厚で1万/㎡程度、施工費は3から4千円/㎡程度です。
コルクタイルの耐久性はどれくらいでしょうか?
前の事務所で設計し私どもがメンテしているお住まいでは、5年ごとにメンテナンスに入りますが記録によると10年で
着色改修、20年で張替えをしています。お住いの生活を大切にしたとても良い改修ですが、一般的ではありません。
35年経ちますが、いろいろな改修をしながら住みつづけておられます。
多分ビルダーの新築ほどの改修をおこなっている筈です。
居心地の良い空間を大切にするということが何より大切と考えるのですが、古くなるとすぐ新築も如何かと思います。
・「親家の隣に建つ住まい」で
コルクタイルを採用した理由を教えて下さい
キッチン、トイレ、洗面脱衣に使用していますが、デメリットの環境もなく、メリットが最大に生かされるためおすすめしました。
「親家の隣に建つ住まい」で工夫した点を教えてください。
ワックス焼き込みが古くからの仕上がり、直輸入品に多くありますがこれが個人として好きなのですが、防汚性を考慮しウレタン仕上げとしました。
コルクタイルをDIYで貼ることも可能でしょうか?
敷き込みを何度か見たことがあります。知り合いの大工さんに頼むと自ら上手に貼りますし、DIY好きの施主さんはMYローラーを持っています。
接着剤は乾かして仮敷しローラーで圧着するため、角が合わなければその場で剥がして再度合わせることもできるので扱いはし易いとおもいます。
直輸入品は微妙に寸法が違うと職人さんがこぼしていたのを記憶しています。多分日本からの委託生産品は精度が良いのでしょう。
是非試してください。
コルクタイルのメンテナンスはどうしたらいいのでしょうか?
初めてのメンテナンスなら専用メンテナンスワックスが良いと思います。
コルクタイルメーカーが専用材料として提供しています。
取り扱い説明に沿って使用してみて下さい。
コルクタイルの耐水性はどうでしょうか?
まったく問題はありませんが下地に合板が貼られていることを忘れずにいて下さい。合板は耐水処理品であっても湿気で腐朽します。
コルクタイルを浴室に使うことも可能でしょうか?
専用のコルクタイルがあります。
コルクタイルを採用したい方にアドバイスがありましたらお願いします。
床材だけでなく、壁、天井材もあるので全面コルク張りの空間などつくってみたいです。
きっと柔らかな温かく落ち着ける空間になると思います。
防音室にも適しているかもしれません。